いつになったら大人になれるんだろう
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昨日滑り込みセーフで蛍火の杜へを観てきました。作画綺麗でしたし、ストーリーも設定も私好みでしたよ。観ていたらなんかふっとネタが沸いたので、書き散らしてみました。書きたいとこだけ書いたので超短い
一応、映画を観て(ネタバレ?)ホタルとギンがふたりして自分を忘れないでいてくれって言ってるシーンで、あぁこの二人はお互いに自分が置いていかれる側だと思っているんだなと感じたので。本当はふたりとも置いていく側であり置いていかれる側でもあるんですけど、それに気づかないで、お互い相手の背中ばかり見てる(ネタバレ?)だと思ったので、そこから派生して妖怪パロで臨帝
題名は00さんよりお借りしました
ついにこの時がきたかと思った。約半年ぶりに会う少年の顔がよく見知ったものだが、たったひとつが、半年前と違った。いつかはそうなるだろうと予想していた帝人だけれども、いざその時になると、覚悟していたはずなのにため息が漏れてしまう。目の前に立つ少年はそれを聞き逃すほど愚かではなかった。
「なんで俺の顔見て最初にやることがため息なのさ。俺、帝人くんになにかしたっけ?」
「臨也さんが悪いというわけではないんですけどね」
唇を尖らせて拗ねた表情をする臨也を、とりあえずは手招いて日陰に座らせる。いくら彼の生家がある都会よりかは涼しかろうと、真夏の昼間に帽子もなしに突っ立っていたら間違いなく熱中症になる。木の根元に腰を下ろした臨也は、そのままごろんと仰向けに寝転がった。
その隣に腰をおろして、帝人は視線をさまよわせた。ため息の理由を率直に伝えるのが、気恥しくないといえば嘘になる。けれどこのまま黙っていたのなら確実に臨也の機嫌が悪くなるということを、長年の付き合いから帝人は学んでいた。
「あなたの背が、伸びたものですから」
最後に会ったのは年末だった。祖父母と共に年を越すためにやってきた臨也は、どうでもよさそうな声で春に進学するのだと言った。受験、という制度を利用するので合否はわからないが、この程度簡単だと軽く笑っていたのを思い出す。
あれから半月、時間は確実に経過した。
「目線が変わりましたよ。気づきませんでしたか? もうきっと、ぼくの背を越しているでしょうね」
昔は帝人におぶられて山を降りた子供が、今や帝人を見おろすよるになってしまった。今が成長期である臨也はこれからもっと背が伸びて、たくましくなっていくだろう。帝人は相変わらず、出会った当時の姿であるというのに。
(当たり前だ。臨也さんは人間で、ぼくとは違うのだから)
時間という概念を、成長という現象を、ここまで意識したことはなかった。目をそむけていたと指摘されれば、その通りだと頷くしかない。帝人も臨也もずるかったから、目を閉じて耳をふさいで、そうしていればずっと『このまま』が続いていくと思っていたのだ。
「ねえ、帝人くん」
寝転がったまま、臨也が帝人を、呼ぶ。
「俺を置いていったりしないでね」
「・・・・・・・・・・なんで、あなたがそんなことを言うんですか」
「さあ、なんでだろうねえ?」
くつくつと低い声で臨也が笑う。その笑い声にどこか、戸惑っているような雰囲気を見つけてしまったから、帝人はそれ以上何を言うでもなくそっと臨也の髪を撫でた。
(置いていくのは、あなたのほうでしょう)
明日か、明後日か、一年後か、十年後か。何もわからないけれど、いつの日か、臨也はこの手を離すだろう。考えるだけで発狂しそうになる、けれど必然的な未来。
触れた場所から臨也の体温が伝わってきて、自分にはないそれに余計帝人は臨也との隔たりを感じた。感じずには、いられなかった。
せかいでたった2人きりになれたら
(それでもきっとあなたは、この手を離すのでしょうね)
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