いつになったら大人になれるんだろう
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風邪も治りはじめたので、リハビリ代わりにニル刹♀です。社会人ニール×高校生刹那。
明日は休みだきゃっほーってなってる時に「仕事追加ねー」とか言われるとマジで凹みますよねって話です
題名はカカリアさんよりお借りしました
もし、今世界が滅びても。なんだか盛大に不吉な台詞が聞こえたような気がしてライルは恐る恐る後ろを振り返った。いつの間に帰宅したのか、テレビ前に設置されたソファーに沈み込んだ兄がこの世の終わりといった顔でぶつぶつ呟いていた。
「もし、今世界が滅びても、俺は文句を言わない。むしろ滅べ!」
「何勝手に不吉な祈り捧げてんだ」
くわっ、と目を見開いて天井に向かって叫んだニールの後頭部にライルのドロップキックが炸裂した。そのまま蛙がつぶれたような声を上げた兄の背に乗っかりながらライルは深~いため息を吐いた。
「なに? ついこの間は人生薔薇色! とか叫んでたくせに」
「薔薇色どころがどぶ色だっつーの・・・・・隕石とか落ちて地球滅びねーかな。明日とかに」
「全人類に謝れ」
兄の一存で人類が滅亡してたまるか。ソファーに突っ伏してさめざめと泣き始めたニールは大変気持ち悪くて出来れば関わりたくはないのだが、いかんせんこの家に住んでいるのはこの兄を除けば自分しかいないのだから、ここで慰めておかないと彼は延々と泣き続けるだろう。それはそれでうざったくてしかたがない。
「で、刹那となんかあったわけ?」
刹那、と口に出しただけで泣き声が大きくなった。基本能天気で何事にも嫌なくらい前向きな兄がここまで落ち込むとなると原因はひとつしかない。八歳年下の少女は兄の弱点であると同時に栄養剤でもある。
「明後日はデートだって、有頂天になってたじゃんか」
「その明後日がさ・・・・・」
涙と鼻水とその他もろもろでぐちゃぐちゃになったクッション(いったい誰が洗濯をするのだろうかと考えて、結局自分しかいないのだとライルはがっくりと肩を落とした)から顔を上げたニールは思いっきり顔をゆがめて叫んだ。
「なぁーにが『言い忘れてたけど、今度の会議用の資料担当君だからよろしく☆』だ! おかげで俺は悲しくも休日出勤だバカヤロー!」
クソ上司ー! おにー! あくまー! など日頃たまりまくっていた鬱憤が爆発したのか、恨み言を並べ始めた兄を横目に、大体の事情を把握したライルは上着のポケットから取り出した携帯電話に手馴れた動作でとある番号を打ち込んだ。
短いコール音の後、聞き慣れた抑揚のない声にライルは短くよぉ、と挨拶をした。
『なんだ、ライルか。ひさしぶりだな』
「まぁな。で、聞こえてると思うけどあれ、うるさくてたまんねーからさっさとどうにかしてくんない?」
念のために携帯電話を耳から離し、いまだ「せっかく刹那と会える数少ない機会だってドチクショー!」とかなんとか叫んでいるニールのほうへ向けた。ここまでしておけば電話の先の彼女にもばっちり聞こえているだろう。
『・・・・・・・・・迷惑をかけてすまない』
「あんなんでも兄貴だしな。むしろこっちが迷惑かけてスイマセン。学校の課題とかあるんだろ?」
『俺なら大丈夫だ。なんとかするからニールとかわってくれ』
「はいよー」
電話の先で苦笑している彼女の姿を思い浮かべ、ライルはただの騒音発生器と化しているニールの目の前に携帯電話を突き出した。はい? と目を丸くするニールに「特効薬がお話したいってさ」とだけ言うと、さっさとライルは自室へと戻った。
お砂糖漬けの地球
(胸焼けがするくらい甘ったるいのがこの世界なのだろう!)
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